カメラの基本3設定を初心者向けに解説|シャッタースピード・F値・ISO感度の使い方をマスターしよう

「カメラを買ったけど、設定がたくさんあってよくわからない…」「オートで撮ってるけど、思い通りの写真にならない」そんな悩みを抱えていませんか?
カメラにはシャッタースピード・F値・ISO感度という3つの基本設定があり、これらを理解することで写真の表現力が格段に広がります。この記事では、カメラ初心者の方に向けて、この3つの設定の意味と使い方をやさしく解説していきます。

専門用語ばかりで不安…という人も、画像や図解と一緒に学べば大丈夫!
カメラの基本3設定とは?写真を決める重要な要素
デジタルカメラで写真を撮るとき、写真の明るさや見た目を決めるのが「シャッタースピード」「F値(絞り値)」「ISO感度」の3つの設定です。
これらは「露出三角形(露出トライアングル)」とも呼ばれ、互いに関係しあいながら写真の仕上がりを決定します。オートモードではカメラが自動で調整してくれますが、自分で設定をコントロールできるようになると、表現の幅が大きく広がります。

シャッタースピードとは?動きを止める・流す鍵
シャッタースピード(SS)は、カメラのシャッターが開いている時間の長さを表します。シャッターが開いている間、カメラのセンサーに光が当たり続けるため、シャッタースピードが速いほど短時間で、遅いほど長時間光を取り込むことになります。
シャッタースピードの効果
シャッタースピードが速い(1/1000秒など)と、動いている被写体の一瞬を止めて撮影できます。スポーツや動物、子どもの撮影など、動きのある被写体をくっきり写したいときに有効です。
反対に、シャッタースピードが遅い(1/30秒以下など)と、動いているものが流れるように写ります。滝の水の流れを絹のように表現したり、夜景で車のライトの軌跡を撮影したりする際に使われます。


シャッタースピードの目安
- 1/1000秒〜1/2000秒:スポーツや野鳥など、素早く動く被写体の撮影
- 1/250秒〜1/500秒:日常のスナップ撮影や動きのある子どもの撮影
- 1/60秒〜1/125秒:一般的なポートレートや風景撮影
- 1/30秒以下:夜景、滝、光の軌跡など(三脚が必要)

手持ちでブレない写真を撮る限界SSはだいたい「1/焦点距離」と言われているね
シャッタースピードと手ブレの関係
シャッタースピードが遅いと、カメラを持つ手のわずかな揺れが写真に影響し、手ブレが発生します。一般的に、手持ち撮影で手ブレを防ぐには「1/焦点距離」秒より速いシャッタースピードが必要とされています(参考: タムロン公式サイト)。
例えば、50mmレンズを使っている場合は1/50秒以上、100mmレンズなら1/100秒以上のシャッタースピードを確保すると手ブレしにくくなります。ただし、最近のカメラやレンズには手ブレ補正機能が搭載されているため、この目安よりも遅いシャッタースピードでも手持ち撮影が可能な場合もあります。
F値(絞り値)とは?背景のボケをコントロールする
F値(絞り値)は、レンズの中にある「絞り」と呼ばれる部分の開き具合を数値で表したものです。絞りは人間の目でいう「瞳孔」のようなもので、開き具合によってレンズを通る光の量が変わります。
F値の効果
F値が小さい(F1.4、F2.8など)と、絞りが大きく開き、たくさんの光が入ります。その結果、写真は明るくなり、背景が大きくボケるため、被写体を際立たせることができます。ポートレートや料理写真など、主役を強調したい撮影に向いています。
反対に、F値が大きい(F8、F11など)と、絞りが小さくなり、光の量が減ります。写真は暗くなりますが、手前から奥までピントが合う範囲(被写界深度)が広くなるため、風景写真など全体をくっきり写したい場面で有効です(参考: タムロン公式サイト)。


F値の目安
- F1.4〜F2.8:背景を大きくぼかしたポートレートや料理写真
- F4〜F5.6:適度なボケを活かした日常のスナップ撮影
- F8〜F11:風景写真で手前から奥までくっきり写したい場合
- F16以上:パンフォーカスで全体にシャープな描写が欲しい場合

背景をぼかすコントロールをしたいときは「絞り優先モード(AまたはAv)」が便利!
F値と被写界深度
F値が変わると、ピントが合っているように見える範囲(被写界深度)も変化します。F値を小さくすると被写界深度は浅く(狭く)なり、背景がよくボケます。F値を大きくすると被写界深度は深く(広く)なり、手前から奥までピントが合って見えます。
この特性を使い分けることで、被写体を際立たせたり、風景全体を鮮明に写したりと、写真の表現をコントロールできます。
ISO感度とは?暗い場所での明るさを補う調整役
ISO感度は、カメラのセンサーが光をどれだけ敏感に受け取るかを示す数値です。ISO100、ISO400、ISO1600というように数字で表され、数値が大きいほど少ない光でも明るく撮影できる便利設定です。
ISO感度の効果
ISO感度を低く(ISO100〜200など)すると、画質が最も良く、ノイズ(ザラザラとした粗さ)の少ないクリアな写真が撮れます。日中の屋外など、光が十分にある環境では低いISO感度が適しています。
反対に、ISO感度を高く(ISO1600〜3200以上など)すると、暗い場所でも明るく撮影できますが、画質は低下し、ノイズが目立つようになります。室内や夕暮れ、夜景撮影など、光が少ない場面で使用します(参考: Rentio公式ブログ)。



左右で見比べるとISOが高い写真の方が画像にざらつきが確認できるね
ISO感度の目安
- ISO100〜200:晴天の屋外撮影、最も画質が良い
- ISO400〜800:曇りの日や室内、夕方の撮影
- ISO1600〜3200:薄暗い室内や夜景撮影(ノイズが少し出始める)
- ISO6400以上:非常に暗い場所や動きの速い被写体を撮る場合(ノイズが目立つ)
ISO感度とノイズの関係
ISO感度を上げると電気的に信号を増幅するため、本来写らないはずのノイズ(画像のザラザラ感)が発生します。最近のカメラは高感度性能が向上しているため、ISO3200程度でも十分実用的な画質が得られることが多いですが、可能な限り低いISO感度で撮影するのが画質維持のコツです。
露出三角形を理解しよう|3つの設定のバランスが鍵
シャッタースピード・F値・ISO感度は、単独で存在するのではなく、互いに関係しあいながら写真の明るさ(露出)を決定します。この関係性を「露出三角形(露出トライアングル)」と呼びます(参考: note「露出の三角形を理解しよう」)。

露出三角形の考え方
写真を適切な明るさ(適正露出)にするには、3つの設定をバランスよく調整する必要があります。例えば
- シャッタースピードを速くする(暗くなる) → F値を小さくする(明るくなる) or ISO感度を上げる(明るくなる)
- F値を大きくする(暗くなる) → シャッタースピードを遅くする(明るくなる) or ISO感度を上げる(明るくなる)
- ISO感度を下げる(暗くなる) → シャッタースピードを遅くする(明るくなる) or F値を小さくする(明るくなる)
このように、1つの設定を変えると他の設定にも影響が及ぶため、「どの表現を優先するか」を考えながらバランスを取ることが重要です。

例えば「背景をぼかしたい(F値小)けど、動きも止めたい(SS速)」場合に、その設定で暗い場合は、ISO感度を上げて明るさを補う、という具合だね
設定の優先順位を決めよう
撮影時は「何を優先したいか」を明確にすると、設定がスムーズに決まります。
- ボケを重視:F値を先に決める → シャッタースピードとISO感度で調整
- 動きの表現を重視:シャッタースピードを先に決める → F値とISO感度で調整
- 画質を重視:ISO感度を低く保つ → シャッタースピードとF値で調整
多くの場合、ISO感度は最後の調整役として使い、まずは「F値」か「シャッタースピード」のどちらを優先するか決めると良いでしょう(参考: はろろぐカメラ「露出設定の順番」)。
実践!撮影シーン別の設定(作例と撮影スポット付き)
ここでは、よくある撮影シーンごとに、基本3設定の目安を紹介します。あくまで参考値なので、実際の光の状態や表現したいイメージに応じて調整してください。
晴天の屋外でのスナップ撮影
- シャッタースピード: 1/250秒〜1/500秒
- F値: F5.6〜F8
- ISO感度: ISO100〜200
光が十分にあるため、画質を最優先して、ISO感度は最低値になるように、他の設定を変更します。

①ISO100を先に設定して、そのあと②シャッタースピードを1/500にした後、③F値がF4と確認します。こんな順番で優先したいことから設定を固めていきます。

ちなみに上記の場合で、もっと広範囲にピントを合わせたいと思うのであればF8まで上げ、その時の適正露出になるシャッタースピードに設定し確認します。このように調整していきましょう。

室内でのポートレート撮影
- シャッタースピード: 1/125秒〜1/250秒
- F値: F1.8〜F2.8(背景をぼかす)
- ISO感度: ISO800〜1600
背景をぼかして被写体を際立たせるためF値を小さくし、室内の光量不足をISO感度で補います。
夜景撮影(三脚使用)
- シャッタースピード: 数秒〜30秒(バルブ撮影も)
- F値: F8〜F11
- ISO感度: ISO100〜400
三脚を使ってカメラを固定するため、シャッタースピードを遅くして光を十分に取り込み、ISO感度は低く保ちます。

スポーツなどの動きの速い撮影
- シャッタースピード: 1/1000秒以上
- F値: F2.8〜F4(レンズの性能次第)
- ISO感度: ISO400〜3200(光の状況次第)
動きを止めることが最優先なので、シャッタースピードを速く設定し、必要に応じてISO感度を上げます。

作例に関する撮影スポット記事は作成中です。近日公開予定!
撮影モードを活用して基本設定を学ぼう
いきなりすべての設定を手動で調整する(マニュアルモード)のは難しいと感じる方も多いでしょう。そんなときは、カメラの半自動モードを活用するのがおすすめです。
絞り優先モード(AまたはAv)
F値だけを自分で決めて、シャッタースピードとISO感度はカメラが自動で調整してくれるモードです。背景のボケをコントロールしたいポートレートや、パンフォーカスで撮りたい風景撮影に適しています。
シャッター優先モード(SまたはTv)
シャッタースピードだけを自分で決めて、F値とISO感度はカメラに任せるモードです。動きのある被写体を撮るスポーツ撮影や、水の流れを表現したい滝の撮影などに便利です。
マニュアルモード(M)
シャッタースピード・F値・ISO感度のすべてを自分で設定するモードです。撮影意図を完全にコントロールしたい場合や、明暗差の激しいシーンで使用します。

しっかり身に着けるならマニュアルモードから練習、はじめはカメラの楽しさを実感したいなら絞り優先モードから練習からマニュアルモードに挑戦していくのがおすすめ!
まとめ|基本3設定を理解して写真表現の幅を広げよう
シャッタースピード・F値・ISO感度という3つの基本設定は、写真の明るさだけでなく、動きの表現やボケ具合、画質にも大きく影響します。この「露出三角形」の関係を理解することで、自分の意図した写真を撮れるようになります。
オートモードでもきれいな写真は撮れますが、自分で設定をコントロールできるようになると、写真の楽しさは何倍にも広がります。まずは絞り優先モードやシャッター優先モードで1つの設定に集中し、徐々にマニュアルモードへとステップアップしていきましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、実際にカメラを持って撮影しながら試行錯誤することで、自然と身についていきます。ぜひ、この記事を参考に、カメラの基本設定をマスターして、思い通りの写真表現を楽しんでください!
設定や機能の使い方が分かってきたら、あとは実際に撮影を楽しむだけです。
特別な場所ではなくても、構図や光の意識だけで日常が作品に変わります。
今日から実践できる撮り方のコツをまとめたので、まずは歩きながら撮ってみよう。













