まず、一眼レフやミラーレスカメラを手にして、まず戸惑うのが「撮影モード」の選び方ではないでしょうか。モードダイヤルには「AUTO」「P」「A」「S」「M」など様々な表示があり、「どれを使えばいいの?」と迷ってしまいますよね。

この記事では、カメラ初心者がまず理解しておきたい「オートモード」と「マニュアルモード」の違い、そして初心者でも使いやすい半自動モードの活用法まで、わかりやすく解説していきます。

【前回のおさらい】カメラの基本3設定を理解しよう

撮影モードの話に入る前に、前回の記事で解説したシャッタースピード・F値・ISO感度の基本をおさらいしておきましょう。この3つの設定が写真の明るさ(露出)や表現を決める重要な要素です。

まだ読んでいない方は、ぜひ先にこちらの記事をご覧ください。

これらの基本設定を「誰が決めるか」によって、撮影モードが変わってきます。

オートモードとは?カメラ任せで簡単に撮れる全自動設定

オートモード(AUTO・全自動モード)は、カメラが撮影状況を自動的に判断し、シャッタースピード・F値・ISO感度・ホワイトバランスなど、ほぼすべての設定を自動で調整してくれるモードです(参考: teilab「カメラ初心者向けオートモード」)

モードダイヤルに「AUTO」や緑色の四角マークで表示されていることが多く、シャッターボタンを押すだけで適正露出の写真が撮れるため、初心者でもすぐに撮影を楽しめます。

オートモードのメリット

  • とにかく簡単:構図だけ考えればシャッターを切るだけで撮影できる
  • 撮り逃しが少ない:設定に迷わず、決定的瞬間をすぐに撮れる
  • 初心者でも失敗しにくい:カメラが適正露出を自動計算してくれる
  • 学習コストゼロ:カメラの知識がなくてもそれなりの写真が撮れる
hatta

自分の持っているカメラを他人に渡して撮ってもらうときには、このオートモードがとても便利です。カメラを知らない人にとっても良い機能です。

オートモードのデメリット

便利なオートモードですが、自由度が低いというデメリットがあります。

  • 表現のコントロールが難しい:背景のボケ具合や明るさを自分で調整できない
  • カメラの判断が必ずしも正しくない:逆光や夜景など、カメラが苦手なシーンでは失敗しやすい
  • フラッシュが自動発光:暗い場所で勝手にフラッシュが光ってしまう
  • 成長が遅い:カメラの仕組みや設定を学ぶ機会が少ない

「もっと背景をぼかしたい」「夜景を明るく撮りたい」といった自分の意図を反映させるには、オートモードでは限界があります(参考: MS Photography「オートとマニュアル、何が違うの?」)

マニュアルモードとは?全設定を自分でコントロールする撮影方法

マニュアルモード(Mモード)は、シャッタースピード・F値・ISO感度のすべてを撮影者が手動で設定するモードです。モードダイヤルに「M」と表示されています。

カメラの自動判断に頼らず、自分の撮影意図に合わせて明るさや動き、ボケをコントロールできるため、表現の自由度が最も高いモードです。

モノクロで撮った大塚の牛繁

マニュアルモードのメリット

  • 完全なコントロール:自分の意図通りに明るさ・ボケ・動きを表現できる
  • 難しいシーンに強い:逆光や明暗差の激しい場面でも思い通りに撮れる
  • 安定した露出:光の変化があっても露出が勝手に変わらない(動画撮影や連続撮影に便利)
  • 創作の幅が広がる:意図的に明るく・暗くするなど、芸術的な表現が可能
多摩川河川敷の様子

マニュアルモードのデメリット

自由度が高い反面、扱いには慣れが必要です。

  • 設定に時間がかかる:3つの設定を毎回調整する必要があり、シャッターチャンスを逃すことがある
  • 初心者には難しい:露出の知識がないと、暗すぎたり明るすぎたりする失敗写真になりやすい
  • 手ブレのリスク:シャッタースピードの設定ミスで手ブレ写真になることも
  • 学習コストが高い:露出三角形の理解が必須で、習得に時間がかかる

マニュアルモードは便利ですが、いきなり使いこなすのは難しいため、まずは後述する「半自動モード」から始めるのがおすすめです(参考: Tolanca「カメラ初心者でも使える!マニュアルモードの使い方とは?」)

オートとマニュアル、どちらを使うべき?初心者におすすめの選び方

オートモードとマニュアルモード、どちらが良いのでしょうか?実は、「どちらか一方が正解」ということはありません。撮影シーンや目的に応じて使い分けることが重要です。

撮影モード比較表

比較項目オートモードマニュアルモード
操作の簡単さ◎(シャッターを押すだけ)△(慣れと知識が必要)
表現の自由度×(カメラ任せで制限あり)◎(完全に自分でコントロール)
撮影スピード◎(設定不要で即座に撮影)△(設定に時間がかかる)
難しいシーンへの対応△(逆光・夜景は苦手)◎(どんな状況でも対応可能)
おすすめシーン日中スナップ、旅行、記念撮影夜景、ポートレート、作品撮り

初心者におすすめの学習ステップ

カメラ初心者の方には、以下のステップで徐々にレベルアップしていくことをおすすめします。

  1. ステップ1:オートモードで撮影に慣れる
    まずはカメラの操作や構図の取り方に慣れることが大切です。設定は気にせず、シャッターを切る楽しさを味わいましょう。
  2. ステップ2:「もっとこう撮りたい」という欲求が出てくる
    オートで撮っていると、「背景をもっとぼかしたい」「動きを止めたい」といった欲求が自然と湧いてきます。
  3. ステップ3:半自動モード(A/Sモード)に挑戦
    次のセクションで紹介する絞り優先モードやシャッター優先モードで、一部の設定だけ自分で決めてみましょう。
  4. ステップ4:マニュアルモードに挑戦
    半自動モードに慣れたら、最後はマニュアルモードで全設定を自分でコントロールしてみましょう。
hatta

初心者時代にはいきなりMモードで修業をしました。そのおかげで、普段の撮影は半自動モードを使い分けるといった立ち回りを覚えました。
難易度は高いので万人には受けませんが、いきなりMモードで練習するのもいいと思います。

中間の選択肢「半自動モード」を活用しよう

オートとマニュアルの間には、「半自動モード」と呼ばれる便利なモードがあります。これらは撮影者が一部の設定だけを決めて、残りはカメラに任せるモードで、初心者から中級者まで幅広く使われている実用的なモードです(参考: GooPass「カメラの撮影モードとは?設定の違いと使い分け方法を解説」)

絞り優先モード(AモードまたはAvモード)

絞り優先モードは、F値(絞り値)だけを撮影者が決めて、シャッタースピードとISO感度はカメラが自動調整してくれるモードです。

おすすめシーン

  • 背景をぼかしたいポートレート撮影(F値を小さく設定)
  • 風景全体にピントを合わせたい風景撮影(F値を大きく設定)
  • 料理写真や物撮りなど、ボケのコントロールが重要な撮影

多くのフォトグラファーが最も頻繁に使うモードで、ボケ具合をコントロールしながら撮影スピードも保てるバランスの良いモードです(参考: ソニー「絞り(F値)とAモード」)

シャッター優先モード(SモードまたはTvモード)

シャッター優先モードは、シャッタースピードだけを撮影者が決めて、F値とISO感度はカメラが自動調整してくれるモードです。

  • スポーツや動物など、動きを止めたい撮影(シャッタースピードを速く設定)
  • 滝や川の流れを表現したい風景撮影(シャッタースピードを遅く設定)
  • 子どもの運動会など、動きのある被写体の撮影

被写体の動きをコントロールしたい場面で威力を発揮するモードです(参考: Web担当者Forum「絞りやシャッタースピードが優先だとどんな写真が撮れる?」)

夜のスローシャッター

プログラムオートモード(Pモード)

これは、シャッタースピードとF値の組み合わせをカメラが自動で決めてくれますが、露出補正やISO感度は手動で変更できるモードです。

完全なオートモードよりも少しだけ自由度があり、「明るさだけ調整したい」という場面で便利です。フィルムシミュレーションだけ変更したい、オートモードから一歩進んだ初心者に適しています。

実践!撮影シーン別のモード選び

ここでは、よくある撮影シーンごとに、どの撮影モードが適しているかを紹介します。

日中の旅行スナップ

おすすめモード:オートモード or Pモード
光が十分にあり、設定で失敗することが少ないため、構図に集中できるオートモードが便利です。

奥多摩駅
アイキャッチ
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ポートレート(人物撮影)

おすすめモード:絞り優先モード(Aモード)
背景をぼかして被写体を際立たせるため、F値を自分でコントロールしたい場面です。F1.8〜F2.8程度に設定しましょう。

作例がないのでいつか撮ってきます!

スポーツ・運動会

おすすめモード:シャッター優先モード(Sモード)
動きを止めることが最優先なので、シャッタースピードを1/500秒以上に設定して撮影します。

ネットに上げてOKなものが少ないので、ここでも割愛。いいものあれば作例紹介します。

夜景撮影(三脚使用)

おすすめモード:マニュアルモード(Mモード)
明暗差が激しく、カメラの自動判断が難しいため、露出を自分で決めるマニュアルモードが適しています。

川崎工場夜景の一部
川崎工場夜景の魅力を徹底解説!おすすめ撮影スポット4選とそのルート紹介!川崎工場夜景の撮影スポットを徹底解説!羽田から扇橋まで8時間の撮影ルートを実体験レポート。α7IV×SEL70200GM2での撮影テクニック、三脚設定、各スポットの特徴と注意点を詳しく紹介。...

風景撮影

おすすめモード:絞り優先モード(Aモード)
手前から奥までピントを合わせるため、F8〜F11程度に絞って撮影します。

奥多摩の紅葉
アイキャッチ
奥多摩の紅葉登山|ふれあい森林浴コースで見つける秋の撮れ高と山岡家特製味噌奥多摩の紅葉を求めて登山スナップに挑戦。ふれあい森林浴コースを歩き、SEL70200GM2の圧縮効果とPLフィルターで秋の風景を撮影。登計峠・愛宕山の険しい道や熊対策も解説。撮影後は山岡家青梅店でラーメンを堪能。初心者向けの装備や構図テクニックも紹介します。...

「オートで撮れる写真はマニュアルでも撮れる」という真実

カメラを学ぶ上で重要な考え方があります。それは、「オートモードで撮れる写真は、マニュアルモードでも必ず撮れる。しかし、マニュアルモードで撮れる写真は、オートモードでは撮れないことがある」ということです(参考: note「カメラ初心者、オートからの脱却」)

つまり、マニュアル設定を学ぶことは、表現の選択肢を増やすことに他なりません。オートモードを使い続けることが悪いわけではありませんが、「もっとこう撮りたい」という思いがあるなら、ぜひ次のステップに進んでみましょう。

まとめ|オートから始めて、徐々にマニュアルへステップアップしよう

オートモードとマニュアルモードは、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが優れているということはありません。重要なのは、撮影シーンや自分のスキルに合わせて使い分けることです。

初心者の方は、まずオートモードで撮影の楽しさを味わいながら、「もっとこう撮りたい」と思ったときに、絞り優先モードやシャッター優先モードといった半自動モードに挑戦してみましょう。そして最終的には、マニュアルモードで完全に自分の意図通りの写真が撮れるようになることを目指してください。

設定を覚えることで、写真はもっと楽しくなります。一歩ずつスキルアップして、あなただけの写真表現を見つけていきましょう!

アイキャッチ
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次は「何を撮るか」を見つけよう

アイキャッチ設定や機能の使い方が分かってきたら、あとは実際に撮影を楽しむだけです。
特別な場所ではなくても、構図や光の意識だけで日常が作品に変わります。
今日から実践できる撮り方のコツをまとめたので、まずは歩きながら撮ってみよう。