横浜・八景島シーパラダイスは、水族館とアトラクションが一体となった複合型レジャー施設で、多彩な海の生き物とダイナミックなイルカショーが魅力的な撮影スポットです。今回はSony α7IVと明るい単焦点レンズ、望遠レンズを組み合わせました。約6時間半の八景島シーパラダイスの中でも水族館にスポットを当てて、暗い室内の水槽からイルカショーまで、スナップを楽しみました。水族館ならではの撮影テクニックとイルカショーでの失敗しないカメラ設定を、実体験をもとに詳しく紹介します。
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八景島シーパラダイスの魅力とは?
八景島シーパラダイスは、横浜市金沢区に位置する日本最大級の水族館を含む複合型海洋レジャー施設です。4つの水族館エリア(アクアミュージアム、ドルフィンファンタジー、ふれあいラグーン、うみファーム)が点在し、それぞれ異なる撮影の楽しみ方ができます。
特に注目したいのがイルカショー。プールを飛び越える大迫力のジャンプや、トレーナーとの息の合ったパフォーマンスは、動体撮影の練習にも最適です。また、室内の水槽エリアでは幻想的なライトアップが施されており、暗い環境でも光を活かした表現力豊かな写真が撮れます。
水族館での撮影は暗いからかじっくりとカメラを向けがちなんですが、泳ぐスピードの速いイルカなどはスポーツのように激しくカメラを振り回す必要があります。
アクセス&施設情報
基本情報
- 施設名:横浜・八景島シーパラダイス
- 住所:神奈川県横浜市金沢区八景島
- アクセス:東京駅から車で約1時間弱、最寄り駅は金沢シーサイドライン「八景島駅」
- 撮影日時:2025年10月18日(土)12:00~18:30
- 所要時間:約6時間半(水族館エリア+イルカショー3回鑑賞)
東京駅から車でアクセスする場合、首都高速湾岸線経由で約50分程度です。公共交通機関の場合は、JR根岸線「新杉田駅」またはJR京浜東北線「金沢八景駅」で金沢シーサイドラインに乗り換え、終点の「八景島駅」で下車、徒歩すぐです。

イルカショーのスケジュール
イルカショーは1日に複数回開催されており、各回約20分程度です。今回は全3回のショーを鑑賞しながら、合間に水族館エリアを回るルートで撮影しました。
イルカショーは2~30分前に到着して席取りしておくと、良い席が確保できます。

今回の撮影機材
水族館とイルカショーという異なる撮影環境に対応するため、今回は以下の機材を用意しました。
使用機材
- カメラボディ:Sony α7IV
- レンズ①:SEL70200GM2(望遠ズームレンズ)
- レンズ②:SEL24F14GM(広角単焦点レンズ)
α7IVは高感度耐性に優れたフルサイズミラーレスカメラで、暗い水族館での撮影に最適です。また、連写性能も高く、イルカショーのような動きの速い被写体にも対応できます。
SEL70200GM2はF2.8通しの大口座望遠ズームで、イルカショー用です。遠くのイルカをしっかり捉えられます。
SEL24F14GMはF1.4という非常に明るい広角レンズで、水族館内用です。暗い室内でも手持ち撮影が可能です。
レンズも適材適所。どこでどのレンズを使うのかあらかじめ計画を立てておくとよいですよ。
撮影テクニック①:室内水槽エリアでの撮り方
広角レンズ(SEL24F14GM)を活用する理由
水族館の室内エリアは基本的に暗く、一般的なズームレンズではISO感度が上がりすぎてノイズが目立つという問題があります。そこで活躍するのがF1.4という明るさを持つ単焦点レンズです。
明るいレンズのメリット
- 低ISO感度で撮影可能:F1.4の開放絞りなら、ISO 1600~3200程度で十分な明るさを確保できます
- 手ブレを防ぎやすい:シャッタースピードを速く保てるため、手持ち撮影でもブレにくい
- ピント合わせがスムーズ:明るいレンズはAFの精度も向上します
- 被写体にピントが合わせやすい:暗い環境でも被写体を確実に捉えられます

ライトアップされた光源を活かす
水族館の水槽は、多くの場合青や緑のライトアップが施されています。この光源をうまく利用することで、幻想的な雰囲気の写真を撮影できます。
光源を活かすポイント
- 逆光を利用:水槽の奥からの光を背景に、魚のシルエットを浮かび上がらせる
- ホワイトバランスを調整:青い光を活かしたいときは色温度を低めに設定
- 露出補正はマイナス寄り:暗部を残すことで水族館独特の雰囲気を演出
- 反射に注意:ガラス面への映り込みを避けるため、レンズを水槽に近づける

基本アンダー気味で撮ると良いです。光源の光やそれに反射する水面なんかがキラキラして幻想的です。光源の遠いところは深海感も増し、まさに海の中にいるかのように写真に残せます。
おすすめカメラ設定(室内水槽)
- 撮影モード:絞り優先(Aモード)またはマニュアル(Mモード)
- 絞り:F1.4~F2.0(開放付近)
- ISO感度:1600~3200(α7IVなら十分実用範囲)
- シャッタースピード:1/100秒以上(魚の動きを止めるため)
- ホワイトバランス:オート、または色温度3500K~4500K
- AF設定:AF-C(コンティニュアスAF)、動物認識AFをON
参考情報として、Sony α7IVの高感度性能は業界トップクラスで、暗所撮影に強いと評価されています。


撮影テクニック②:イルカショーでの撮り方
Sモード(シャッタースピード優先)で撮る理由
イルカショーでは、動きの速いイルカをブレずに捉えることが最優先です。そのため、シャッタースピードを確実にコントロールできるSモード(シャッタースピード優先)が適しています。
シャッタースピードの設定目安
- ジャンプの瞬間:1/1000秒以上(動きを完全に止める)
- 泳いでいるシーン:1/500~1/800秒
- 流し撮り:1/250秒程度(背景を流してスピード感を演出)

1/1000秒は必須。画質低下よりもこちらの方が最優先!
イルカのジャンプを捉えるコツ
イルカショーの撮影で多く苦労するのが、「ジャンプのタイミングが分からない」「どこからジャンプするか分からない」という点です。しかし実は、イルカのジャンプには予備動作があるため、慣れればタイミングを掴みやすくなります。
予備動作を見逃さないポイント
- トレーナーの動きに注目:トレーナーが手を上げたり、ホイッスルを吹いたりする動作がサイン
- イルカの泳ぎ方の変化:ジャンプ前は水面近くを勢いよく泳ぐ
- プールの端からスタート:ジャンプ台に向かって加速する様子を観察
- 連写モードを活用:α7IVの高速連写で、決定的瞬間を逃さない

成功率は気にせず、とにかくシャッターを切る
イルカショー撮影の鉄則は、「失敗を恐れずシャッターを切り続けること」です。プロのカメラマンでも、イルカのジャンプを100%の確率で捉えるのは困難です。
今回の撮影では、3回のショーで合計約500枚撮影し、満足できる写真は30枚程度でした。つまり成功率は約6%です。しかし、この6%の成功写真が撮れれば十分なのです。デジタルカメラの利点を活かし、遠慮せずシャッターを切りましょう。



おすすめカメラ設定(イルカショー)
- 撮影モード:シャッタースピード優先(Sモード)
- シャッタースピード:1/1000~1/1600秒
- ISO感度:オート(上限ISO 6400程度に設定)
- 絞り:カメラが自動設定(F2.8~F5.6程度になる)
- ドライブモード:高速連写(連続撮影Hi+)
- AF設定:AF-C、動物認識AF、ワイドエリアAF
- フォーカスエリア:フレキシブルスポットまたはゾーンAF
α7IVの動物認識AFは、イルカなどの海洋生物にも対応しており、高精度なピント合わせが可能です。

効率的な回り方|イルカショーの時間を軸に
八景島シーパラダイスは広大な敷地を持つため、計画的に回らないと時間が足りなくなります。今回実践した「イルカショーを軸にした回り方」を紹介します。
おすすめスケジュール
| 時間 | エリア・活動 | 撮影ポイント |
|---|---|---|
| 12:00~13:00 | アクアミュージアム入館、1F水槽エリア | 大水槽、ペンギン、アザラシなど |
| 13:00~13:30 | 第1回イルカショー席取り | 前列中央の席を確保 |
| 13:30~14:00 | 第1回イルカショー鑑賞・撮影 | ジャンプ、パフォーマンス撮影 |
| 14:00~15:00 | 2F・3F水槽エリア | クラゲ、深海魚、熱帯魚など |
| 15:00~15:30 | 第2回イルカショー席取り | 違う角度から撮影するため別の席へ |
| 15:30~16:00 | 第2回イルカショー鑑賞・撮影 | 角度を変えた撮影にチャレンジ |
| 16:00~17:00 | ドルフィンファンタジー、ふれあいラグーン | 水中トンネル、ふれあい体験エリア |
| 17:00~17:30 | 第3回イルカショー席取り | ベストショットを狙う |
| 17:30~18:00 | 第3回イルカショー鑑賞・撮影 | 夕暮れ時の雰囲気も撮影 |
| 18:00~18:30 | 施設外周、夕景撮影 | 海と夕日、施設の外観 |
この回り方のポイントは、イルカショーの時間を先に確認し、その合間に水族館エリアを回ることです。イルカショーは人気なので、良い席を確保するためには30分前に到着することを強くおすすめします。
その他の撮影ポイント
その他生物の接写
水族館といえど鳥類哺乳類もいます。よく接写できるのは、ペリカンやフラミンゴあたりでしょう。カワウソやレッサーパンダは姿が良く見えるものの、大勢のお客さんがいる中でエゴに写真を撮るのには向いていません。

クラゲの撮影
ゆっくりふわふわと浮かびながら泳ぐクラゲもフォトジェニックです。激しく動かないため、撮影難易度はいくらか低いイメージです。背景のライトアップと相まって幻想的な雰囲気で写真が撮れます。

水族館の中の一つの目玉大水槽
正式名称は「大海原に生きる群れと耀きの魚たち」水槽。4m近い高さまでのガラスを目の前にみんなが首を上げて鑑賞。そんな風景もフォトジェニックです。光のコントロールをして印象的な写真を残しましょう。

まとめ
八景島シーパラダイスは、水族館とイルカショーという異なる撮影環境を一度に楽しめる、カメラ好きにとって最高のスポットです。明るい広角レンズ(SEL24F14GM)で暗い水族館でもクリアな写真を撮り、望遠ズーム(SEL70200GM2)でイルカショーのダイナミックな瞬間を捉える。この2本のレンズがあれば、ほぼすべてのシーンに対応できます。
イルカショーの撮影は最初は難しく感じるかもしれませんが、予備動作を観察し、成功率を気にせずシャッターを切り続けることで、必ず満足できる写真が撮れます。また、イルカショーの時間に合わせて水族館エリアを回ることで、効率よく施設全体を撮影できます。
水族館ならではの幻想的なライトアップ、イルカの躍動感、そして海辺の穏やかな風景。八景島シーパラダイスには、多様な被写体と撮影シーンが詰まっています。ぜひカメラを持って、この魅力的なスポットを訪れてみてください。
次の記事でお会いしましょう!
















