2025年2月にSONY α7IVを購入してから約半年が経過しました。α7IIIからの買い替えで実際に感じた進化ポイントや使用感について、リアルな視点でレビューをお届けします。購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
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私のカメラ遍歴と購入に至った経緯

これまでの写真活動
私の本格的な写真活動は2017年にα7IIを購入したことから始まりました。翌2018年にはα7IIIへと移行し、主にポートレート撮影を中心に活動していました。
その後、星景写真のサブ機としてα6400やα7Cなども導入しましたが、結局は年間3回程度の星撮影では活用しきれず、定着することはありませんでした。
写真活動の縮小と復活
2022年から2024年にかけては、メンタル不調による本業の休業と同時に写真活動も大幅に縮小していました。この期間中に購入したのがX100Vで、これをきっかけに気軽なスナップ撮影の楽しさに目覚めることになります。

2025年に写真活動を本格的に再開するにあたり、機材の整理と新たな購入を決断。このタイミングでα7IVとSEL70200GM2を中古で購入し、同時に本ブログ「Frame by Frame」も開設しました。
SONY α7IVの基本スペック
まず、α7IVの主要スペックを確認しておきましょう。
項目 | SONY α7IV | α7III(参考) |
---|---|---|
有効画素数 | 約3300万画素 | 約2420万画素 |
イメージセンサー | 35mmフルサイズ Exmor R CMOSセンサー | 35mmフルサイズ Exmor R CMOSセンサー |
画像処理エンジン | BIONZ XR | BIONZ X |
ISO感度 | 100-51200(拡張:50-204800) | 100-51200(拡張:50-204800) |
AF測距点 | 759点(位相差検出) | 693点(位相差検出) |
連写速度 | 最高約10コマ/秒 | 最高約10コマ/秒 |
動画 | 4K 60p | 4K 30p |
手ブレ補正 | 5.5段 | 5.0段 |
モニター | 3.0型 バリアングル | 3.0型 チルト |
重量 | 約573g(本体のみ) | 約565g(本体のみ) |
特に注目すべきは、有効画素数の大幅な向上(2420万→3300万画素)、バリアングルモニターの採用、そしてクリエイティブルック機能の搭載です。これらの進化が実際の撮影体験にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。



なぜα7IVを選んだのか
同価格帯での選択肢
中古市場では同じ価格帯にα7RVやα7CIIといった選択肢もありました。しかし、最終的にα7IVを選んだ理由は以下の通りです。
1. 中古価格の適正感
256,800円という価格は、性能と市場価値を考慮すると非常にバランスが良いと判断しました。新品では30万円を超える機種を、状態の良い中古で手に入れられるメリットは大きいです。
2. α7IIIからの正当進化機
α7IIIから自然にステップアップできる機種として、操作系の親和性は重要な要素でした。全く新しいカメラに慣れ直すよりも、使い慣れた操作感を維持しながら性能向上を享受したかったのです。
3. バリアングルモニターへの期待
これまでチルトモニターでは難しかったローアングルやハイアングルでの撮影が、バリアングルモニターなら自由自在になると考えました。特にスナップ撮影では大きなアドバンテージになると予想していました。
4. EVFでの撮影スタイル
私は基本的にEVF(電子ビューファインダー)での撮影を好むため、α7CIIのようなEVFがない機種は候補から外れました。しっかりとしたEVFでの撮影体験は譲れない条件でした。
基本は中古で購入しています。なぜ中古がよいのか、どこかでお話できるといいですね。
α7IIIからの進化ポイント
ハード面での改善点
グリップの大幅な改善
最も実感できる改善点は、間違いなくグリップの進化です。α7IIIのグリップも悪くはありませんでしたが、α7IVのグリップは明らかに深く、指のかかりが良くなっています。
SEL70200GM2のような重いレンズを装着した際でも、安定したホールドが可能になり、手ブレ軽減にも寄与しています。カメラを構えた瞬間に「握りやすくなった」と実感できるレベルの改善です。
何より、落とすリスクが減り、体感も軽く感じるのがとても良い
カスタマイズ性の向上
α7IVでは露出補正ダイヤルがカスタマイズ可能になり、合計4つのコマンドダイヤルを自由に設定できるようになりました。
画素数アップの恩恵
3300万画素への向上は、特に印刷を前提とした撮影で威力を発揮します。α7IIIでは躊躇していた大判プリントも、α7IVなら安心して挑戦できます。また、クロップ耐性も向上し、構図の微調整が後処理で行いやすくなりました。
ソフト面での劇的改善
設定画面の刷新
α7IVの設定画面は、α7IIIと比べて格段に使いやすくなっています。階層が整理され、分かりやすくなったことで、使いたい機能へのアクセスが爆速になっています。

クリエイティブルック|FL(フィルムライク)の魅力
しかし、α7IVで最も感動したのはクリエイティブルックのFL(フィルムライク)です。これは私がα7IIIからα7IVに移行した最大の理由と言っても過言ではありません。
α7IIIの撮って出しの色味にはどうしても満足できず、常にRAW現像が必要でした。この作業負担が撮影へのモチベーション低下につながっていたのです。
FLモードでは、フィルムカメラで撮影したような温かみのある色調が得られ、撮って出しJPEGでも十分に満足できる仕上がりになります。これにより撮影体験が大幅に向上し、写真を撮ることの純粋な楽しさを取り戻すことができました。

半年間使用して感じたこと
現在の撮影スタイル
現在は主に以下のような撮影を行っています。
- 街中ストリートスナップ:銀座、渋谷、東京駅周辺など
- 撮影スポットでの本格撮影:東京タワーや蓮の花など
- イベント撮影:夏祭りや盆踊りなど
使用レンズは主にSEL70200GM2、広角が必要な場合ではSEL24F14GMを使用しています。



バリアングルモニターの実用性
期待していたバリアングルモニターは、想像以上に便利でした。特に以下のシーンで威力を発揮します。
- ローアングルでの花撮影(蓮の花や紫陽花など)
- 人混みでのスナップ撮影
- 三脚使用時の構図確認
α7IIIのチルトモニターでは不可能だった縦構図でのローアングル撮影が自由に行えるようになり、撮影の幅が大きく広がりました。
一方で、本体から飛び出るため、思わずひっかけたりして、壊してしまう可能性も感じました。チルトに比べて可動域も大きいため、故障確率は確実に高いです。
高感度性能の向上
夜のスナップ撮影では、ISO 3200-6400の常用が可能になりました。ノイズ処理の向上により、α7IIIよりもクリーンな高感度画質を実現しています。

気になる点はあるか?
半年間使用した現時点では、特に大きな不満や気になる点はありません。強いて言えば以下の点ですが、いずれも使用上問題となるレベルではありません。
- わずかな重量増加(ただし、グリップ改善により体感的な負担は軽減)
- バッテリー消費の若干の増加(予備バッテリーで対応可能)
これらの微細な変化よりも、得られるメリットの方が圧倒的に大きいというのが正直な感想です。
上を見たらキリがないですが、後発のαシリーズには「AIプロセッシングユニット」と呼ばれるAIAFが搭載しています。そっちも気になるなあ。
購入を検討している方への総合評価
こんな方におすすめ
✅ 強くおすすめできる方
- α7IIIからのステップアップを考えている方
- 撮って出しの色味にこだわりたい方
- バリアングルモニターの利便性を求める方
- 印刷前提の高画質撮影をしたい方
- 動画と静止画の両方を本格的に楽しみたい方
⚠️ 他の選択肢も検討したい方
- とにかく軽量・コンパクトを重視する方(α7CII推奨)
- 最高の解像度が必要な方(α7RV推奨)
- 予算を抑えたい方(α7IIIの中古も十分現役)
コストパフォーマンスについて
中古価格約25万円(記事執筆時点)は、α7IVの性能を考えると非常に妥当な価格設定です。新品から約5万円安く購入できることを考えると、中古での購入は賢い選択と言えるでしょう。
ただし、購入時は以下の点を確認することをおすすめします。
- シャッター回数
- センサーの状態
- 外観の傷の程度
- 付属品の有無
私はマップカメラで購入しましたが、信頼できる中古カメラ店での購入を強く推奨します。
まとめ|α7IVは期待を上回る進化を遂げたカメラ
SONY α7IVを半年間使用した結論として、このカメラはα7IIIから順当かつ大幅な進化を遂げた優秀なカメラだと断言できます。
- クリエイティブルック(FL)による撮影体験の向上
- グリップ改善による持ちやすさとホールド感の向上
- バリアングルモニターによる撮影の自由度向上
- 3300万画素による画質とクロップ耐性の向上
- 新メニューシステムによる操作性の改善
特に、撮って出しの色味に満足できずにRAW現像が負担になっていた方には、クリエイティブルックの存在だけでも買い替える価値があると感じています。
写真への情熱を再燃させてくれたα7IVとの出会いに感謝しつつ、今後も様々なシーンで活用していきたいと思います。


