「いつものスナップに季節感をもっと込めたい」「四季それぞれの魅力を写真で表現したい」そんな思いを持っていませんか? 実は、特別な機材や場所がなくても、光の使い方、色彩、構図の工夫で日常の風景が格段に季節を感じるスナップ写真に変わります。
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「スナップ写真の撮り方|構図・光・視点で変わる日常の切り取り方」シリーズの前回記事はこちら↓

季節感のあるスナップ写真とは
季節感のあるスナップ写真とは、撮影時期の気候や雰囲気、その季節特有の色彩や光質を感じられる写真のこと。単に桜や雪を撮るだけではなく、光の角度、色温度、陰影の使い方で「今がどの季節か」を見る人に伝える技術が重要になります。
もちろん、その季節の特徴である風景を撮ることだって季節を感じることはできますよ。




【春】やわらかい光と希望を込める撮り方
春らしい光の特徴と活用法
春は太陽の角度が徐々に高くなり、光が柔らかくなる季節。フォトヨドバシの撮影ノートでは、春らしい光の演出には「逆光で優しさを表現する」ことと記載があります。
- 逆光での桜や花の透け感を活かす
- 午前中の斜光線で新緑の輝きを表現
- 薄曇りの日の拡散光でふんわりとした空気感
春の色彩とホワイトバランス
春は淡いピンクや黄緑など、パステル調の色が特徴。ホワイトバランスを「くもり」に設定することで、温かみのある色調が得られます。

【夏】コントラストと爽やかさの表現
強い日差しと影の活用
夏は光が強く、コントラストがはっきりする季節。影を効果的に使うことで夏の日差しの強さを表現できます。
- 建物の陰を使った明暗の対比
- 青い空と白い雲のコントラスト
- 逆光でのシルエット表現
夏らしい色と構図
青空、緑の葉、太陽の強い光を活かした撮影がポイント。ローアングルで空を大きく入れ、強い日差しを表現します。


【秋】色彩の豊かさと深みの表現
紅葉と光の組み合わせ
秋は光の角度が低くなり、暖かみのある光質に変化します。紅葉の色彩を活かすには、サイド光や斜光を使って色の深みを表現することが重要です。
- 紅葉の透け感を活かした逆光撮影
- 朝の斜光線で色彩の鮮やかさを強調
- 曇天の拡散光で色彩の階調を豊かに
秋の構図のポイント
色とりどりの紅葉を構図に活かす際は、色のバランスを意識することが大切。赤・黄・緑の配置で季節の移ろいを表現できます。

【冬】静寂感と透明感の表現
冬の光の特徴
冬の雪景色撮影のレシピでは、冬の光の特徴として透明感と静寂さが挙げられています。太陽の角度が低いため、長い影と柔らかい光質が特徴です。
- 雪面の反射を活かした明るい表現
- 寒色系の色温度で寒さを表現
- 長い影で季節感の表現

季節感を高める共通テクニック
光の方向と時間帯の活用
ニコンの光を使った撮影テクニックによると、光の方向(順光・逆光・サイド光)によって写真の印象は大きく変わります。
光の方向 | 効果 | 適した季節 |
---|---|---|
順光 | 色鮮やかで明るい表現 | 春・夏 |
逆光 | 透け感・ドラマチックな表現 | 全季節 |
サイド光 | 立体感・質感の表現 | 秋・冬 |
色温度とホワイトバランス
季節感を表現するには、ホワイトバランスの使い分けが効果的です。
- 春:くもり・日陰(暖かみのある表現)
- 夏:太陽光(自然な発色)
- 秋:太陽光・電球(暖色系で温もり表現)
- 冬:太陽光・蛍光灯(寒色系で冷たさ表現)





構図で季節感を演出
構図によっても季節感は大きく変わります。
- 縦構図:高い空や樹木の成長感(春・夏)
- 横構図:広がりのある風景(秋・冬)
- ローアングル:空の開放感(春・夏)
- ハイアングル:俯瞰的な静けさ(秋・冬)
機材と設定のポイント
レンズ選択
季節感のあるスナップには以下のレンズが効果的:
- 標準レンズ(35-50mm):自然な視点での季節表現
- 広角レンズ(24-35mm):空や風景の広がりを強調
- 中望遠(85-135mm):被写体を際立たせる
基本設定
撮影モード:絞り優先(A/Avモード)
- 春・夏:F5.6-F8(パンフォーカス気味)
- 秋・冬:F2.8-F4(背景ボケで主題を強調)
ISO感度
- 晴天:ISO100-400
- 曇天・夕方:ISO400-1600
実践的な撮影のコツ
天候を味方にする
各季節の特徴的な天候を活かした撮影:
- 春霞:ソフトな描写で幻想的な表現
- 夏の雲:ダイナミックなコントラスト
- 秋の霧:神秘的な雰囲気作り
- 冬の雪:静寂と純白の美しさ
日常の中の季節を見つける
特別な場所に行かなくても、日常の中に季節は存在します:
- 街角の植物の変化
- 人々の服装の変化
- 光と影の変化
- 空気感の違い
季節感のあるスナップの鍵は「観察力」。同じ場所でも季節によって光や色、空気感が変わることに気づけば、どこでも季節を感じる写真が撮れるようになりますよ!
まとめ|季節特有の光、色を探す
季節感のあるスナップ写真は、特別な機材や場所がなくても撮影できます。重要なのは、
- 光の質を理解する:各季節の光の特徴を把握し活用する
- 色彩を意識する:ホワイトバランスと季節の色彩を合わせる
- 構図で表現する:季節の雰囲気に合った構図を選択する
- 日常を観察する:身近な変化に気づく観察力を養う
今度、カメラを持って外に出る時は、ぜひその季節特有の光や色、空気感を意識してシャッターを切ってみてください。きっと今まで見えなかった季節の美しさを写真に残すことができるはずです。



