早朝の静寂な街並みは、スナップ撮影における最高の舞台です。
今回は目白駅をスタートし、歴史ある鬼子母神から護国寺まで歩く約1時間のフォトウォークをご紹介します。
夏の終わりの早朝6時前から、α7IVに望遠ズームSEL70200GM2を装着し、都市の朝の表情を切り取った撮影記録を詳しく解説していきます。
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「🏙 撮影スポット探訪記|カメラ片手に歩く街角」シリーズの前回記事はこちら↓

早朝フォトウォークの魅力とは?
早朝撮影は、一日で最も静謐で美しい光に出会える特別な時間帯です。人通りが少なく、車の往来も最小限のため、普段は撮影しにくい街角や建物をゆっくりと撮影できます。
特に8月31日の早朝は夏の終わりを感じさせる独特の空気感があり、季節の移ろいを写真に込めることができる絶好のタイミングでした。また、望遠レンズを使用することで、被写体との距離を保ちながら自然なスナップ撮影が可能となります。
ルート詳細とアクセス情報
基本情報
- スタート地点:JR山手線目白駅
- ゴール地点:東京メトロ有楽町線護国寺駅
- 総距離:約3km
- 所要時間:約1時間(撮影時間含む)
- 撮影時間帯:5:45〜7:00(夏の早朝)
今回のルート詳細
実際に歩いたルートは以下の通りです:
- 目白駅(出発地点・早朝の駅周辺スナップ)
- 威光山法明寺への道のり(住宅街の朝の風景)
- 威光山法明寺・鬼子母神堂(境内と野良猫撮影)
- 鬼子母神から護国寺への散策路(季節の花々)
- 護国寺(ラジオ体操遭遇でそそくさと退散)

使用機材と設定詳細
今回の撮影機材
- ボディ:SONY α7IV
- レンズ:FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(SEL70200GM2)
望遠ズームレンズを選択した理由
今回、SEL70200GM2を選択した理由は以下の通りです。
- 被写体との適度な距離感を保ちながら自然な表情を捉えられる
- F2.8の明るさと200mmの望遠でキレイなボケが楽しめる
- 背景の整理が容易で、主題を際立たせやすい
- 野良猫などの警戒心の強い被写体も望遠で自然に撮影可能
スポット別・撮影レポート
【スポット1】目白駅から威光山法明寺まで
早朝5時42分、目白駅からスタートしました。少し明るさが落ち着いてきた頃、住宅街へと向かう道のりでは、夜明けの自然光独特の雰囲気を楽しめます。
撮影ポイント
- 人通りの少ない早朝の街並みを望遠レンズで圧縮効果を活かして撮影
- 太陽の位置が低く、まだのっぺりとした陰影で撮影
- 朝日の暖かい光が差し込む高い位置のビルの側面を撮影




【スポット2】威光山法明寺・鬼子母神堂境内
法明寺に到着した時刻は6時頃。まだ本堂は閉まっている時間帯でしたが、境内の散策は可能(?)でした。何か面白いものは無いかといろいろ散策してみます。ほら、あんなところに…
野良猫との遭遇
境内を歩いていると、数匹の野良猫に遭遇しました。早朝の静寂な時間帯だからこそ、警戒心の強い猫たちも比較的リラックスしていたのか、ゆっくりファインダーを覗いて撮影させてくれました。
標準域(35~50mm)のレンズでは、接近しすぎて野良猫ちゃんたちは離れてしまうので、こういう時の望遠レンズは強い。
撮影ポイント
- 境内の石灯籠や建物を背景にした奥行きのある構図
- 野良猫の自然な仕草を望遠レンズで捉える
- 木々の間から差し込む朝日を逆光として活用



【スポット3】鬼子母神から護国寺への散策路
鬼子母神を後にして護国寺へ向かう道中では、特別な観光地ではない、ありふれた住宅街の朝の風景に出会えます。小さなところに面白味を見つけて、ファインダー越しに写真に残していきましょう。
季節の花々との出会い
8月末の早朝、住宅の庭先や道端で朝顔や赤い花が美しく咲いていました。夏の終わりを告げる花々は、季節感のあるスナップ撮影には欠かせない被写体です。
撮影ポイント
- 朝顔の開花タイミングを狙った接写撮影
- 赤い花と緑の葉のコントラストを活かした色彩表現
- 望遠レンズによるゆがみの少ない写真




【スポット4】護国寺で夏休みのラジオ体操に遭遇
7時過ぎに護国寺に到着すると、予想外の光景が待っていました。8月31日という日付の特別さを物語る、今年最後であろう夏休みのラジオ体操に遭遇してしまったのです。
撮影における配慮
私は関係者ではないため、参加者の皆さんに配慮してそそくさと境内を後にしました。しかし、最後の景品であろうあんパンやヤクルトを嬉しそうに持った家族連れの姿を横目に見ながら、夏休みの終わりという季節感を強く感じることができました。
- プライベートなイベントへの配慮を最優先
- 遠目からの風景撮影に留める
- 季節感を表現する小物(あんパン、ヤクルトなど)への注目
- 家族連れの自然な表情を邪魔しない距離感の維持


早朝撮影で意識したテクニック
【テクニック1】露出補正の活用
いつもの私は露出補正をマイナス0.3程度に設定し、意図的にアンダー気味に撮影しています。これにより以下の効果が得られます。
アンダー露出のメリット
- 白飛びの防止:朝日の明るい部分が白飛びするリスクを軽減
- RAW編集での柔軟性:後処理でハイライト・シャドウの調整が容易
- 色彩の再現性向上:色が濃く出て、朝の美しい色調を保持
- ノイズの軽減:アンダー露出により、ISO感度を抑えた撮影が可能
ソニーの公式サイトでも、露出補正は撮影者のイメージに近づけるための重要な調整として紹介されており、今回のような逆光が多い早朝撮影では特に有効です。
白飛びしてしまいRAW現像時に色が復活させられないことが一番の懸念点なので、そこが一番の理由。

【テクニック2】絞り値の使い分け
今回はF4〜F8の間で撮影を行い、常に開放値で撮影することは避けました。これにより以下の撮影効果を狙いました。
絞りを意識した撮影のメリット
- F4〜F5.6:背景を適度にぼかしつつ、主題を際立たせる
- F6.3〜F8:背景の情報も残し、環境も含めた構図作り
- 解像度の向上:レンズの最適絞り値域での撮影により画質向上
- 被写界深度の調整:意図した範囲をシャープに表現
初心者へのアドバイス
初心者の方は開放で撮るのが楽しい時期がありますが、それは全く問題ありません。まずはボケの美しさを楽しみ、慣れてきたら背景構図も考慮した絞り値の選択に挑戦してみてください。


【テクニック3】望遠レンズの圧縮効果活用
SEL70200GM2の望遠域を活かした圧縮効果により、平面的になりがちな早朝の風景に立体感と奥行きを与えることができました。
圧縮効果の活用法
- 前景・中景・後景の重なりを強調した奥行き表現
- 建物や街並みの密度感を演出
- 被写体の孤立効果により、主題を明確に
- 背景の整理による視線誘導の強化


早朝フォトウォークの注意点
時間帯による制約
- 寺院の開門時間:本堂は早朝6時台では未開門の場合が多い
- 光量の変化:短時間で劇的に光の条件が変化する
- 人の活動開始:7時以降は通勤・通学時間帯と重なる
- 店舗の営業時間:コンビニ以外はほぼ営業していない
機材管理のポイント(冬の場合)
- バッテリー消耗:早朝の低温でバッテリー消耗が早い場合がある
- 結露対策:温度差による結露に注意
- レンズの手入れ:朝露でレンズが濡れる可能性
撮影マナーと配慮事項
今回の撮影で特に重要だと感じたのは、地域の方々への配慮と撮影マナーです。
配慮すべきポイント
- 住宅街での撮影:プライバシーに配慮した画角設定
- 宗教施設での撮影:参拝者の邪魔にならない位置取り
- 地域イベント:関係者以外は適切な距離を保つ
- 野良猫撮影:動物にストレスを与えない距離感

まとめ|早朝フォトウォークで得られるもの
今回の目白駅から護国寺までの早朝フォトウォークでは、約1時間という短い時間の中に多くの発見と学びがありました。夏の終わりという季節感、早朝の静寂、偶然の出会い、そして撮影マナーの重要性まで、スナップ撮影の醍醐味を存分に味わうことができました。
α7IV×SEL70200GM2の組み合わせは、早朝撮影において理想的な性能を発揮しました。望遠レンズならではの圧縮効果と美しいボケ、そして被写体との適切な距離感により、自然で印象的なスナップ撮影が可能となりました。
このルートをおすすめする理由
- アクセスの良さ:山手線目白駅から有楽町線護国寺駅まで便利
- 時間の手頃さ:1時間程度で完走可能
- 被写体の多様性:街並み、自然、動物、建築とバラエティ豊富
- 季節感:四季を通じて楽しめる
スナップ撮影の場所に迷っている方には、ぜひこの早朝フォトウォークをおすすめします。普段見過ごしている身近な風景にも、撮れ高は確実に存在するということを、きっと実感していただけるはずです。
逆に目立つ被写体は少ないので、ボーっと歩いていると撮れ高を逃してしまうので、じっくり観察しながらこのルートを歩いてみましょう。
露出補正やF値の調整といった基本的なテクニックから、撮影マナーや偶然の出会いへの対応まで、スナップ撮影に必要な要素がすべて詰まった充実のフォトウォークでした。早起きは少し大変ですが、その価値は十分にあります。


