「紅葉の色がなんだか白っぽい…」「水面の反射が気になって水中が見えない…」そんな悩み、ありませんか?
今回は、風景撮影の定番アイテム「PLフィルター」を初めて購入したので、その効果と使い方をレビューを含めて紹介していきます。特に、紅葉や海や池などの水面のある風景に効果があると言われているこのアイテムがどのような場面で通用するのか紐解いていきましょう。
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「📘初めてのカメラ教室|初心者向け使い方」シリーズの前回記事はこちら↓
PLフィルターとは?|反射をコントロールする魔法のフィルター
PLフィルター(C-PL=サーキュラーPL)は、偏光フィルターとも呼ばれる特殊なレンズフィルターです。「PL」は「Polarized Light(偏光)」の略で、光の反射をコントロールできるのが最大の特徴です。
🔍 PLフィルターの仕組み
PLフィルターは2枚のガラスの間に「偏光膜」という特殊なフィルムが挟まれています。この偏光膜はまるで目に見えないブラインドのようなもので、特定方向の光だけを通します。
水面や葉っぱの表面で反射した光は、「一方向に偏った光」になっています。PLフィルターの前枠を回すことで、この偏光膜の角度を変え、反射光をカットしたり、逆に強調したりできるといった具合です。
詳しい仕組みについては、ケンコー・トキナーの公式ガイドが非常にわかりやすく解説しています。
どんな場面でPLフィルターを使うべきか?
PLフィルターが真価を発揮するのは、主に以下の4つのシーンです。
① 紅葉・新緑の色彩強調
葉っぱの表面は光を反射しやすく、そのせいで本来の色よりも白っぽく写ってしまいます。PLフィルターを使えば、この表面反射を除去して、葉本来の深い赤や黄色、緑を引き出せます。
特に紅葉シーズンには欠かせないアイテムで、順光(太陽を背にした撮影)や斜光で効果が高いです。
② 水面の反射除去
池や川、海などの水面の反射を取り除いて、水中の景色や魚、岩をクリアに写せます。水面に対して30〜40度の角度から撮影するのが最も効果的です。ただし、真正面からの撮影では効果が出ないので注意が必要です。
③ 青空のコントラスト強調
太陽光が大気中で散乱した光をPLフィルターがカットすることで、青空をより深い青にすることができます。白い雲や紅葉との対比が美しく、メリハリのある写真に仕上がります。
効果が最大になるのは、太陽を背にして90度の方向(太陽と自分と被写体が直角になる位置)です。
④ ガラス越しの撮影
展望台や水族館、ショーウィンドウなど、ガラス面への映り込みを軽減できます。ガラスの奥にある被写体をクリアに写したいときに便利です。
ただし、ガラスに対して真正面からでは効果が薄いため、斜めから撮影するのがコツです。
今回購入したPLフィルター|Kenko PRO1D eta C-PL
今回購入したのは、Kenko PRO1D eta(イータ)C-PLです。フィルター径は、SEL24F14GM用に67mm、SEL70200GM2用に77mmの2本を揃えました。

🛒 なぜKenko PRO1D etaを選んだのか?
理由は大きく3つです。
- 入手しやすさ:ビックカメラオリジナル商品で店頭在庫があり、すぐに手に入る
- 撥水・防汚コーティング:水辺や雨天での撮影を考えると、撥水コートは必須
- コストパフォーマンス:プロ向けの高級モデルではないが、初心者には十分な性能
📦 Kenko PRO1D etaの特徴
- 撥水・撥油コーティング:水や指紋が付いても簡単に拭き取れる
- デジタルマルチコート:反射を抑え、フレアやゴーストを軽減
- 薄枠設計:広角レンズでもケラレ(画面四隅の暗い影)が出にくい
- 回転枠:前枠を回すことで偏光効果を調整可能
詳しい製品情報は、ビックカメラの製品ページでもご覧いただけます。
実際の作例|あり・なしの比較
実際の作例とともにPLフィルターの効果について確認していきましょう。作例のスポットは下記記事で紹介しています。
紅葉での色彩比較
葉一枚ずつよく見ると、反射している部分の光が無くなり、モミジの深く赤い色が表現されていますね。


水面やガラスの反射比較
池の反射を無くすことで底をキレイに表現したり、ガラス面の反射を無くすことで向こう側のモノを表現することができます。




日本各地にはキレイな池が多い印象です。こういったフィルターを使って撮ることで不必要な反射を抑えられるのは、PLフィルターの強みです。

青空の濃さの比較
また、青空のコントラストをより濃く表現することもできます。よく被写体に対して明るくなり過ぎる青空は、色が薄く見えてしまいます。PLフィルターを使うことで、印象的な青空と被写体を同時に表現が可能です。


🎨 C(サーキュラー)のコントロールによる差分
PLフィルターの面白いところは、前枠を回すことで効果の強弱をコントロールできる点です。同じシーンでも、フィルターの角度によって以下のように変化します。



180度まで回すと0度と同じような色味、270度まで回すと90度と同じような色味になります。
疑問と回答|PLフィルターの「できること・できないこと」
❓ 夜景やネオンに対しては効果があるか?
答え:効果はないです。
PLフィルターは「偏光した光(反射光)」をカットする仕組みなので、直接的な光源である夜景やネオンサインには効果がありません。
また、PLフィルターは1〜2段分暗くなるため、夜景撮影では露出が不足しやすくなる点にも注意が必要です。
❓ 敢えて反射させるには効果があるか?
答え:効果があります!
水面の反射や虹を濃くするために、PLフィルターの効果を最弱にして利用する方法もあります。

私はまだ撮ったことがないですが、夜の煌びやかな街や看板を水たまりやショーウィンドウで反射させることもできると思いますよ。
PLフィルターのデメリットと注意点
PLフィルターは便利なアイテムですが、いくつかデメリットや注意点もあります。
⚠️ ①露出が暗くなる(減光効果)
PLフィルターは光をカットする仕組み上、1〜2段分の減光が発生します。そのため、シャッタースピードが遅くなったり、ISO感度を上げる必要があります。
手持ち撮影では手ブレに注意し、必要に応じて三脚を使用しましょう。
⚠️ ②広角レンズでのケラレ・偏光ムラ
超広角レンズ(16mm以下など)では、フィルターの枠が厚いと画面四隅に暗い影(ケラレ)が出ることがあります。薄枠タイプのフィルターを選ぶことで軽減できます。
また、超広角レンズでは空が一部だけ濃くなる「偏光ムラ」が出やすいため、効果を控えめにするか、撮影位置を調整する必要があります。
⚠️ ③色被りや色温度の変化
PLフィルターは偏光膜の特性上、わずかに色被り(青みや黄色み)が出ることがあります。高品質なフィルターほど色再現性が高いですが、完全に中立な色とは限りません。
気になる場合は、RAW現像時にホワイトバランスを調整しましょう。
⚠️ ④レンズフードとの干渉
PLフィルターは前枠を回転させるため、レンズフードを装着したままだとフードごと回ってしまい、操作しにくくなります。
三脚を使わないようなスナップ撮影ではフードは付けずに撮影する方が取り回しは楽です。
⚠️ ⑤経年劣化(寿命がある)
PLフィルターの心臓部である「偏光膜」は、7〜8年で黄色っぽく変色することがあります。これは偏光膜の経年劣化によるもので、変色したフィルターで撮影すると色がにごってしまいます。
高温・多湿・紫外線に弱いため、使わないときは専用ケースに入れて保管し、つけっぱなしは避けましょう。詳しくはケンコー公式ブログをご覧ください。
まとめ|PLフィルターは風景撮影の必須アイテム
今回は初めてPLフィルターを購入し、効果について検証しました。特に紅葉撮影では、葉の表面反射を除去して本来の色を引き出せる点が魅力です。
使い方に慣れるためには1時間ほど撮影する必要がありますが、その効果はRAW現像でも出来ないほどの色彩が表れる、素晴らしいアイテムです。
Kenko PRO1D eta C-PLは、入手しやすく、撥水コーティングも備えたコスパの良いモデル。初めてPLフィルターを買う方にもおすすめです。















