千葉県館山市の北条海水浴場は、夏の花火スナップにぴったりのスポットです。
海辺の開放感と手持ち花火の光が重なることで、印象的な写真を残すことができます。
今回は、実際に北条海水浴場で花火を楽しみながら撮影した様子を紹介しつつ、雰囲気を活かした撮影のコツをまとめました。写真に興味がない人でも北条海水浴場は花火ができるのか、どんな施設があるのか、分かるように解説していきます。
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「🏙 撮影スポット探訪記|カメラ片手に歩く街角」シリーズの前回記事はこちら↓

今回は前回のリベンジマッチです。準備・段取りをブラッシュアップして挑みます。撮影前の工数削減と現地ルールの再確認で、スムーズに実践できました。

北条海水浴場エリアで手持ち花火ができるのか?
結論として、北条海水浴場では手持ち花火程度であれば問題なく楽しめます。特に夕方以降は遊泳客もほとんどおらず、海岸で花火を行いながら撮影に集中できる環境です。
館山市では、海岸や公共スペースでの打上げ花火は禁止されていますが、比較的小規模な花火は楽しめます。
館山市:「海・浜ルール」
今回の北条海水浴場の施設の紹介
また、北条海水浴場は場所そのものだけでなく、周辺の環境もとても良いと言えます。
- 無料駐車場があり、結構大きい(300台ほど)
- 駐車場から砂浜へのアクセスが10秒
- 24時間利用可能なシャワーが隣接
- トイレもあり
- コンビニや遅くまでやっているレストランが隣接している

地図リンク:北条海岸北駐車場
必要なものがギュッと集まっていてかなり快適でした。もちろん、砂浜に来ている以上、暑さや潮風、砂がサンダルに挟まる不快感などはありますが、そういったものが解消できる素晴らしい場所だと思います。
アクセス&駐車場/撮影時間の目安
東京から約1時間半で車で行けるこの北条海水浴場は、上記の通り周りの環境が素晴らしいです。
花火や撮影の実施以外にも、そのあとのケアや手洗い足洗いに便利でストレスフリーなのがいいところです。
今回は鎌倉駅集合ということで、鎌倉スタートになります。
また、撮影時期はお盆の最終盤ということもあり、アクアラインの混雑予想が難しく、久里浜発の東京湾フェリーの利用を考えてみました。東京湾では波が小さいせいか船の揺れも大きくなく、40分間ストレスなく移動できました。かつ、船内やデッキ、甲板はスナップしても面白く、ここでも「撮れ高」ありという感じでとてもいい経験でした。
ただし、車を使ったフェリーでの移動にはそれなりの金額がするので注意です。(フェリー片道5000円くらい、車と運転者のみで)


- 到着予定:17:30(夕焼けのあるうち)
- 撤収:20:00(アクアラインの上りの混雑が解消されそうな時間)
- 撮影時間:約2時間
今回の全体のルートは以下の通りです。
鎌倉集合 → 久里浜港 →(東京湾フェリー)→ 金谷港 → 道の駅 保田小学校 → 北条海水浴場
今回の作例の紹介
ここからは時系列に整理をして、どんな撮れ高があったか紹介していきます。
割と、詰め詰めの時間設定だったため、各所で撮れた写真は少ないです。ですが、実際にその場を楽しむこともできたので、カメラで写真を撮ることに慣れていない人でも目の前のものに楽しむ心を持ちましょう。
せっかく旅行に来たのだから、ファインダーばかりでなく、周りの景色を楽しんでみましょう。新たな発見があるかも。
【作例紹介】Super-Takumarで撮る東京湾フェリー
少しレトロな内装、夏らしい空、フェリーから見える対岸。そこには非日常な空間がありました。機動性を考えて、お気に入りオールドレンズ「Super-Takumar 55mm F1.8」でそのレトロを表現しましょう。
船内の駐車場から

船内の様子



フェリーから見える景色


【作例紹介】突発的に立ち寄った道の駅 保田小学校
フェリーを降りて北条海水浴場へ向かう途中、見えてきたのは「道の駅 保田小学校」の看板。あまりにも主張してくるので、思わず立ち寄ってしまいました。
道の駅 保田小学校でスナップ




そこにあったのは、しっかりブランディングされていると思わされた保田小学校グッズの数々。敷地内には宿泊施設、温泉、給食を模したレストラン、子供たちが楽しめるキッズスペースなど、親子連れで半日は楽しめる道の駅という感じ。
【作例紹介】北条海岸、北条海水浴場で手持ち花火
予定より遅れて着きましたが、夕焼けの時間には間に合いました。この日は日の入りのタイミングでは分厚い雲が立ちはだかっており、水平線に落ちる前に暗くなってしまいました。こればかりは運なので仕方ないですね。
夕焼けスナップ
撮影前にそのあたりを少しスナップ。人が少ないからか、いたるところで点々とチルしている人たちが多く、気温も下がってきた夕方、穏やかな時間が流れていました。




クロスフィルター使った手持ち花火スナップ
【テクニック1】敢えてSS1/1000秒で撮影
空間を止め、異常に上がったISOを編集で粒子を載せることで、フィルムライク風な写真が表現できます。波の立体感もあり、波打ち際でしていることが伝わる表現に。


【テクニック2】長秒露光で光の軌跡を表現
花火と言ったら長秒露光。クロスフィルターも用いることで軌跡の周辺には虹色の光が拡散していてキレイ。ほかにも、顔は動かさず、手だけを動かして、ポートレート風味な撮影も挑戦。(顔出しはできないので、ここでは割愛)


【テクニック3】色温度をいじってまた違った雰囲気を撮影
この中で、この色温度が一番白に近い色温度と思う。肌もきれいな色をしていて現実感がある中で非日常な風景を撮り抑えることができた。

機材とセッティング
今回の機材も前回の由比ヶ浜の時と同じ装備です。
- ボディ:SONY α7 IV
- レンズ:
Pentax Super-Takumar 55mm F1.8
FE 24mm F1.4 GM(SEL24F14GM)
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(SEL70200GM2) - フィルター:Kenko クロススクリーン(4本タイプ等)
- AFが迷う時はMF+ピーキングで打率改善

反省点からの改善
前回の反省点、しっかり改善して臨んでいきましょう。事前にできることをしておくだけで、当日の撮影現場での工数削減や、同行者ありの場合の変な間などが無くなって、良い撮影体験をすることができます。
花火は事前に選別
基本購入する手持ち花火は個包装された種類の花火が大きな袋に入っています。そして、個包装の花火たちが結構頑丈にセロハンテープで留まっており、割とこの状態は外すことが難しく、野外での作業は厄介です。
事前に購入したタイミングで煙の少ないタイプのみ選別し、現場で速やかに使えるようにビニール袋にでもまとめておきましょう。
これによって、誤って煙の多い花火を使ってしまうミスなども減りますね。
便利グッズを事前に調達
前回の最も反省した点は、点火です。着火のためのジッポ、継続した火元のためのバケツろうそく。この2点はかなり失敗でした。今回の改善は以下の通りです。紹介するグッズはすべて100円ショップキャンドゥで揃えることができています。
ジッポではなくチャッカマン
長柄のものを用意しましょう。やけどの可能性がかなり下がります。また、浜辺は潮風が強い場合が多いので、通常より点火の回数が多いです。燃料切れを考慮し、2~3個用意しておくと安心です。
仏壇用ろうそくの魔改造
安定した火元を用意するために参考にしたのが、この記事。今回は素焼きの植木鉢が用意できなかったのでろうそくが入る大きさのバケツ型の灰皿を用意しました。
MFを想定した撮影
前回撮影してパニックになってしまったのが、暗所でのAFでした。人物撮影が久しぶりであったことや、街灯もない砂浜ではAFはかなり迷います。なので、MFでの撮影運用を前提として動くことが大切です。
事前の撮影シミュレーションとその共有
花火の持ち方、撮りたい構図、背景や写り方に対する立ち位置。人物をメインとした撮影の場合は考えることがたくさんあり、それをモデルさんへ伝えることが大切です。お互いにどんな写真を撮りたいのか、を言葉にして共有しておきましょう。
今回の運用ルール・注意点
基本的に浜辺での手持ち花火をする際の注意点や大体のルールはどこでも同じようなものです。一回認識しておけば他の地域でも同じようにできるので覚えておきましょう。
とはいえ、火、火薬を使うので、実施する前には公式情報をしっかり確認しておきましょうね。
- 時間配慮:22時以降の花火はNG対象に含まれます。撮影は日没〜21時台前半までに終了。
- 音・煙の最小化:静音・煙少の花火のみを選別。煙が流れる風下側は人がいない場所を徹底。
- 点火方法:チャッカマン+風対策ろうそくで確実に着火(ろうそくは風防付き・転倒防止で安全配置)。
- 後始末:使い終えた花火は必ず水没消火→袋へ。蝋や灰は砂浜に落とさない。
まとめ|8月後半は「花火×夕景」で“撮れ高”が稼げる
あんなに騒がしくうざったい暑さの夏も、時が経って気付けばエモい気分になりますね。そんな場面を表現できる一つのシチュエーションが「花火×夕景・夜景」です。
海風・ルール・安全に配慮すれば、北条海水浴場の手持ち花火スナップはとても良い表現ができます。準備の段階で“使える花火だけに絞る”“点火を確実にする”“何を撮るか決める”——この3点を徹底すると、現場は驚くほどスムーズ。ぜひ夕景の色が残る時間帯からブルーアワーにかけて挑戦してみてください。

