「背景がボケた写真ってどうやって撮るの?」と疑問に思ったことありますよね?一眼カメラを買って初めて感動したのはそのボケ立ったりします。一眼カメラならではの美しいボケ表現。実は「被写界深度」という仕組みを理解すれば、誰でも簡単にコントロールできるようになります。
この記事では、カメラ初心者の方向けにボケと被写界深度の基本概念から実際の撮影テクニックまで、分かりやすく解説します。読み終える頃には、思い通りのボケ表現で写真が撮れるようになっているはずです。
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「📘初めてのカメラ教室|初心者向け使い方」シリーズの前回記事はこちら↓


そもそも「ボケ」「被写界深度」って何?
まず、基本的な用語から整理していきましょう。
ボケとは
ボケとは、写真でピントが合っていない部分がぼやけて見える現象のことです。日本語の「ボケ」は世界共通の写真用語「Bokeh」として使われているほど、重要な表現技法なんです。
被写界深度とは
被写界深度とは、写真でピントが合って見える範囲のことです。ニコンの公式解説でも詳しく説明されているように、この範囲の前後がボケて見えるようになります。
- 被写界深度が浅い = ピントの合う範囲が狭い = ボケが大きい
- 被写界深度が深い = ピントの合う範囲が広い = ボケが小さい(全体的にくっきり)
スマホと一眼カメラのボケの違い
スマホカメラでも「ポートレートモード」などでボケ効果を作れますが、一眼カメラとは根本的に仕組みが違います。
項目 | スマホカメラ | 一眼カメラ |
---|---|---|
ボケの仕組み | AI処理で人工的に作成 | レンズの物理的な特性による自然なボケ |
調整の自由度 | 限定的 | 細かくコントロール可能 |
ボケの質 | 時々不自然になる | なめらかで自然 |
とはいえ、2025年現在では画像処理技術も向上し、一目ではわかりにくいほど高品質なボケを作り出せているのも現状です。
被写界深度を決める3つの要素
被写界深度は主に3つの要素によって決まります。タムロンの詳細解説でも説明されているように、これらを理解することで思い通りのボケをコントロールできるようになります。
①F値(絞り値)- 最も重要な要素
F値が小さい(F1.4、F2.8など) = 被写界深度が浅い = 大きなボケ
F値が大きい(F8、F11など) = 被写界深度が深い = 全体的にくっきり


F値は「エフち」と読むよ。数字が小さいほど大きくボケると覚えておこう。

②焦点距離(レンズの種類)
望遠レンズ(85mm、200mmなど) = ボケやすい
広角レンズ(24mm、35mmなど) = ボケにくい
ソニーの解説でも触れられているように、ポートレート撮影で85mmや135mmが人気なのは、美しいボケが得られやすいからなんです。
ポートレートでは被写体である人物を強調させるために、他の情報(背景など)の情報を整理する必要があります。物体をぼかし、情報量を減らすこともその整理の手段の一つです。
③被写体との距離
被写体に近づく = ボケやすい
被写体から離れる = ボケにくい
マクロ撮影で花を間近で撮ると、背景が大きくボケるのはこの原理によるものです。


シーン別!ボケを活かした撮影テクニック
ここからは実際の撮影で使える、具体的なテクニックをご紹介します。
🌸 ポートレート撮影|人物を際立たせるボケテクニック
推奨設定:
- F値:F1.8〜F2.8
- 焦点距離:85mm以上(可能であれば)
- 被写体との距離:2〜3メートル
撮影のコツ:
- 瞳にピントを合わせる(最新のカメラには瞳AFという便利な機能もあります)
- 背景はなるべく遠くにあるものを選ぶ
- 背景に街灯や木漏れ日があると、美しい玉ボケが作れる
ポートレートの基本は目にピントを合わせること!たまに鼻や前髪にピントが合ってしまっているものが見受けられます。被写体の命は目にこそ宿るのです…
🌺 花・小物撮影|マクロ的なボケ表現
推奨設定:
- F値:F2.8〜F4
- 被写体との距離:できるだけ近く
- 焦点距離:標準〜中望遠(50-100mm程度)
撮影のコツ:
- 花の一部分(花びらの先端や雌しべなど)にピントを合わせる
- 背景はシンプルな色合いを選ぶ
- 逆光を活用すると、花びらが透けて美しい

🏞️ 風景撮影|パンフォーカスで全体をくっきり
風景撮影では逆に、手前から奥まで全てくっきり写したい場合が多いです。
推奨設定:
- F値:F8〜F11
- 焦点距離:広角レンズ(16-35mm程度)
- ピント位置:被写体全体を考慮した最適な位置


実際にカメラで設定してみよう
絞り優先モード(Aモード・Avモード)を使おう
ボケをコントロールするには、絞り優先モードが最も簡単です。詳しい使い方は下記記事で解説していますが、基本的な流れをご紹介します。

- モードダイヤルを「A」(ニコン・ソニー)または「Av」(キヤノン)に合わせる
- コントロールダイヤルでF値を調整
- シャッタースピードとISO感度はカメラが自動で調整
- ファインダーやモニターでボケ具合を確認しながら撮影
ライブビューでボケを確認する方法
最近のミラーレスカメラや一眼レフのライブビュー機能を使えば、撮影前にボケ具合を画面で確認できます。
- ライブビューをONにする
- F値を変更しながらモニターでボケの変化を確認
- 「絞りプレビュー」ボタンがあれば活用する
よくある失敗とその解決方法
❌ 失敗例①「ピントが合わない」
原因: F値を小さくしすぎて、被写界深度が浅すぎる
解決方法: F2.8〜F4程度に調整して、ピントの合う範囲を広げる
❌ 失敗例②「思ったようにボケない」
原因: 被写体と背景が近すぎる、または広角レンズを使っている
解決方法: 被写体と背景の距離を離す、望遠寄りの焦点距離を使う
❌ 失敗例③「全体的に暗い写真になる」
原因: F値を小さくした分、シャッタースピードが速くなりすぎている
解決方法: 露出補正で+0.7〜+1段明るく調整する、またはISO感度を上げる
逆にそもそも露出補正がプラスになっていて全体的に明るすぎる写真が撮れることもあります。そんな時は上記と逆で、露出補正をマイナスに設定しましょう。
レンズ選びでボケ表現が変わる
初心者におすすめのボケが美しいレンズ
標準単焦点レンズ(50mm F1.8など)
いわゆる「撒き餌レンズ」と呼ばれるもので、価格やサイズ感も手頃で、自然な画角とボケが楽しめる初心者がまず最初に買う単焦点レンズです。
中望遠レンズ(85mm F1.8など)
ポートレート撮影に最適で、美しいボケが得られます。
望遠ズームレンズ(70-200mmなど)
様々な焦点距離でボケの変化を楽しめ、運動会などのイベントでも活躍します。
スマホユーザーも試せる!ボケ撮影のコツ
一眼カメラを持っていなくても、スマホでボケを意識した撮影は可能です。
- ポートレートモードを積極的に活用
- 被写体にできるだけ近づく(マクロモードがあれば使用)
- 背景はなるべく遠くを選ぶ
- 明るい場所で撮影する(暗いとノイズが増えて効果が薄れる)
被写体とは近く、でも背景は遠くを意識しましょう。
まとめ|ボケをマスターして写真表現の幅を広げよう
ボケと被写界深度の基本を理解することで、写真の表現力は格段に向上します。
F値が小さい = 大きなボケ(背景ぼかし向け)
F値が大きい = 全体くっきり(風景撮影向け)
絞り優先モードでF値をコントロール
被写体と背景の距離でボケの大きさが変わる
望遠レンズほどボケやすい
最初は思うようにいかなくても大丈夫。たくさん撮って、F値を変えながら練習することで、必ず上達します。ボケを意識するだけで、いつもの写真がグッと印象的になるはずです。




