友人に貸していたFUJIFILM X-T50が手元に戻ってきたとき、以前から気になっていた「神レンズ」の存在を思い出しました。それが今回レビューするXF 35mm F1.4 Rです。換算50mmクラスの単焦点レンズを探していた私が、マップカメラで中古7万円という価格に背中を押され、ついに購入に至った経緯から、X-T50との組み合わせでの実機レビューまでを詳しくお届けします。
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前回の「🔧カメラとレンズの研究所|写真が変わる機材レビュー」シリーズの記事はこちら↓

なぜXF 35mm F1.4 Rを選んだのか

購入に至った4つの理由
1. X-T50という最適なパートナーの存在
友人から戻ってきたX-T50。このコンパクトなボディにマッチする単焦点レンズを探していたとき、XF 35mm F1.4 Rの存在を知りました。
2. 「神レンズ」という評価への興味
フジユーザーの間で「神レンズ」と呼ばれるこのレンズ。公式サイトでも「最も多くの特別な写真を生む」と謳われており、その実力を自分の目で確かめたくなりました。
3. 換算50mmという理想的な画角
35mm判換算53mm相当という画角は、人間の視野に近く、スナップからポートレートまで幅広く使える万能性が魅力でした。
4. 中古7万円という手の届く価格
新品なら9万円以上するレンズが、マップカメラで中古7万円で見つけたとき、これは運命だと感じました。
購入したセット内容
- レンズ本体
- 専用レンズフード
- リアキャップ
- フードキャップ
XF 35mm F1.4 R の主要スペック
型番 | フジノンレンズ XF35mmF1.4 R |
---|---|
レンズ構成 | 6群8枚(非球面レンズ1枚) |
焦点距離 | f=35mm(35mm判換算:53mm相当) |
画角 | 44.2° |
最大口径比 | F1.4 |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 7枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 標準:0.8m~∞ マクロ:28cm~2m |
最大撮影倍率 | 0.17倍 |
外形寸法 | ø65.0mm × 50.4mm |
質量 | 187g(本体のみ) |
フィルターサイズ | ø52mm |
発売から12年が経過した2012年設計のレンズですが、多くのレビューサイトでも「現在でも色褪せない性能」と評価されています。


開封からのファーストインプレッション
圧倒的な軽さに驚愕
187gという重量は数字で見るより実際に持つと衝撃的です。モックかと錯覚するほどの軽さで、手のひらにすっぽりと収まるコンパクトさ。これなら一日中首からぶら下げていても疲れることはないでしょう。
質感について
正直なところ、「神レンズ」という呼び名から期待していた高級感は…それほどでもありません。多少のプラスチック感があり、フードも価格(7000円)の割には安っぽい印象です。
しかし、これは必ずしも欠点ではありません。むしろ実用性を重視した設計思想の現れとも言えるでしょう。
操作感とユニークなキャップシステム
フォーカスリングと絞りリングは軽やかな操作感。ただし、このレンズの特徴的な仕様として、フードに対するキャップが付属します。これは珍しい仕様ですが、外れやすいので取り扱いには注意が必要です。
X-T50との組み合わせ実写レビュー

描写性能の検証
開放F1.4のボケ感
開放での撮影では、まさに「とろける」という表現がぴったりのボケ感を実現。ピント面のシャープネスとのコントラストが美しく、被写体を印象的に浮かび上がらせます。

F2.8〜F5.6での解像感
多少絞ると解像感が格段に向上します。他のレビューサイトでも指摘されているように、F2.8あたりから画質のピークを迎え、F5.6では隅々まで鮮鋭な描写を見せます。


周辺減光について
開放付近では多少の周辺減光が見られますが、これがむしろ自然なヴィネット効果となって、写真に立体感を与えています。F2.8以上に絞れば気になるレベルではありません。
オートフォーカスの性能
2012年設計のレンズということもあり、最新のレンズと比較するとAF速度は控えめです。しかし、X-T50の高性能なAFシステムとの組み合わせにより、実用上問題のないレベルまで改善されています。
動きの激しい被写体には向きませんが、スナップやポートレート、風景撮影では十分な性能を発揮します。むしろ、ゆったりとした撮影ペースが写真と向き合う時間を作ってくれるような感覚です。
最短撮影距離28cmの実力

28cmまで寄れるこのレンズは、テーブルフォトやちょっとしたマクロ撮影にも対応できます。キタムラのレビュー記事でも触れられているように、お花などの近距離撮影で大きなボケを活かした表現が可能です。
色再現とコントラスト
フジフイルムらしい温かみのある色再現が特徴的です。特に人肌の再現は秀逸で、ポートレート撮影での満足度は非常に高いレベルです。
使用感とおすすめの撮影シーン
最も活かせる撮影場面
- 日常スナップ:換算53mmの画角は日常の切り取りに最適
- ポートレート:F1.4の美しいボケで被写体を際立たせる
- 風景写真:コンパクトさを活かした軽快な撮影
- テーブルフォト:28cmまで寄れる近距離撮影能力



気になる点・改善希望点
- AF駆動音が大きめ(静かな場所では目立つ)
- 動体追従性能は現代的ではない
- フードキャップが外れやすい
- 最新レンズと比較すると解像感で若干劣る部分も
価格対性能を総合評価
コストパフォーマンス分析
購入価格 | 中古7万円(新品約9万円) |
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同クラス競合 | XF33mm F1.4 R LM WR:新品約10万円 |
性能差 | AF速度、手ぶれ補正、防塵防滴で劣る |
描写の魅力 | 独特のボケ味と色再現は唯一無二 |
結論:「神レンズ」という呼び名に恥じない描写力と、中古7万円という価格を考慮すると、確実に「買い」と言えるレンズです。最新の高性能さは期待できませんが、写真の本質的な魅力を教えてくれる一本として、強くおすすめできます。
まとめ|XF 35mm F1.4 Rが教えてくれること
このレンズを使って感じるのは、「機材は写真を撮るためのツールであり、最終的には撮影者の感性と技術が写真を決める」ということです。最新の技術的な優位性はなくても、写真を撮る楽しさと、被写体と向き合う時間の大切さを教えてくれる貴重な存在です。
こんな人におすすめ
- フジフイルムXシリーズ初の単焦点レンズを探している人
- コンパクトで軽量なF1.4レンズが欲しい人
- 独特のボケ味と色再現を楽しみたい人
- 中古市場でコスパの良いレンズを探している人
結論、「買い」です!


